遠距離恋愛ゲイの独り言〜ふたたび

旦那と15年以上遠距離恋愛しているゲイのブログ。日常の些細な悲喜交々を気の向くままに。

【続】若き後輩

長いGWが明け数日経った平日の昼どき、自分は表参道の通りを歩いていた。

隣には背が高く厚みのある身体をした若い男が一緒。

年下の恋人…なんてわけがない(^_^;)


彼は勤務先のE君。

去年の4月に入社し、今年の3月まで机を並べ一緒に仕事をしていた後輩である(過去記事「若き後輩」参照)。

 

cherrybeargo.hatenablog.com

 
この日は自分が3月まで担当していたクライアントから、後任のE君共にランチに誘われたのだ。


(平日の昼に外に出てくるのって随分久しぶりだ。ああ、ホント気が晴れる…)


あたりには爽やかな風が吹いている。

普段窓のないフロアーで仕事をしているせいで、沿道の新緑が実に眩しい。


そしてもっとキラキラ輝いて見えるのが隣を歩くE君。

決して派手ではないが、男らしく端正な顔立ち。肘までシャツをまくった太い腕はこんがり灼けている。

高校、大学でバレーボールに明け暮れ、今はジム通いの成果か胸板も以前に比べてさらに厚くなっている。


(しばらく会わないうちに随分大人っぽく格好良くなったな…仕事で自信がついてきたのかもしれない)


なんだか嬉しいような寂しいような複雑な気分。

普段若い男には全く興味もない自分だが、E君だけにはなぜか不思議な感情を抱いてしまうのだ。

「父性」、そう思うようにしてきたのだけれど…


歩きながら久しぶりにいろいろと話す。


「あれ?そういえばカバンかえた?」


(どこかで見たロゴだな)


彼は目を細め、少しはにかみながら、


「あ…実は◯さん(自分のこと)が冬に着てたコートがいいなって思って、同じブランドを真似しちゃいました…すみません」


前から彼の服装の趣味が自分と似ていると思っていたけど、そう聞いて嬉しくなってしまう。


E君は普段決して饒舌ではなく感情豊かなタイプでもない。だが、ふたりだけでいるといっぱい話してくる。


前は週に一度は一緒に昼を食べに行ってたんだよな。最近はどうしてるんだろう?


「いつもひとりです。◯さんみたいに相談できる人もいなくて…」


それを聞き、思わずグッときてしまう。

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クライアントとのランチを終え外に出ると、さっきまでの青空は何処へやら。嫌な真っ暗な雲が広がり今にも雨が降り出しそう。

表参道駅までの通りをふたり早足で急ぐ。


やがて冷たい風が吹き始め、ポツポツと雨が降り出したかと思うと、突然大粒の雨に変わる。あ、傘がない…


するとE君がカバンから折りたたみ傘を取り出し、さっと自分の頭上に差してくれた。


小さな傘のため、E君と自分は寄り添い歩くようになってしまう。

自分の肩に背の高い彼の固く引き締まった二の腕があたる。

彼の身体から放たれる若い雄の匂いが自分の鼻腔をくすぐり、突然抑え難い思いが胸の奥から湧き上がる。


(このままE君の盛り上がる大胸筋に顔をうずめてみたい…いや、いけない!絶対そんなことはダメだ!想像すらNGだ!)


ふと我に返り、慌てて彼から自分の身体をひき離す。


程なくして地下鉄入り口に着き、彼に礼を言いながら濡れた箇所をタオルで拭く。


(何をバカなことを…どうかしちゃっている)


ようやく平静を取り戻した。


オフィスに戻れば、フロアーも異なることからこの先E君と会う機会は殆どないだろう。

自分は立場上他部署の社員との交流を禁じられており食事なんぞ有り得ない。

それでもふたりが本社にいる限り、顔くらい見ることができるはず。

それだけで十分だ。


だがもうすぐそれすら叶わなくなると、この時はまだ知らなかった。

 

そう、彼は来月末で地方支社を退職する女性の後任候補となっていたのである。