遠距離恋愛ゲイの独り言〜ふたたび

旦那と15年以上遠距離恋愛しているゲイのブログ。日常の些細な悲喜交々を気の向くままに。

隣のお客~2丁目にて【前編】

何年ぶりだろう?2丁目を訪れるのは…。

それは新宿での職場の飲み会帰りのこと。


2丁目は、デビュー直後は勿論、旦那と付き合い始めてからも、数年間は一緒に行っていた。

だが、馴染みの店が次々と閉店したこともあり、しばらく足が遠のいていた。


時刻は午後9時過ぎ。

久しぶりに中通りを歩く。

懐かしい!

でも道ゆく人の数は昔に比べて少ないなぁ~金曜日だというのに。


当時頻繁に通っていた馴染みの店を目指す。

現在も元気に営業中のその店のドアを開けると…


カウンター10席のうち半分くらいが埋まっている。さて、どこに座ろうかな…どうせなら、イケメンの隣がいいなあ(笑)。


数秒間、そんなことを考えていると、マスターが、

「◯ちゃん?久しぶりじゃない!ココどーぞ!」

と、ひとりで飲むおじさんの隣を指す。


着席後、しばしマスターと昔話で盛り上がる。

この店は、年上好き・スーツ専が集まることで有名。

10年くらい前は、立ち飲みする客もいたくらいだった。それが今は週末ですら満席になることは滅多にないんだとか。


マスター曰く、「最近はいつも暇よ~」と。


若い人のアルコール離れや、SNSの影響もあり、2丁目に来る人は激減。来るのは年齢の高い人ばかりだそう。


「ゲイアプリ」とか、SNSによる出会いは、お手軽でいいかもしれないけれど、自分はやっぱりこういうお店でたまたま出会った人と、直接いろいろ話をする方がいい、と思ってしまう。


見回してみると、確かにお客さんは40~50代以上ばかり。隣に座っているおじさんも…。


そのおじさんは、ずっと面白くなさそうにひとり黙って飲んでいた。

昔の自分だったら、そのまま無視を決め込むところだけど、今日は飲んで来たこともあり、おじさんに軽~く挨拶。


すると、

「オタク、前からよく来てんの?あんまり見かけないけど…」


(“オタク”ね…(笑)こんな風に返されたのって、2丁目に来て初めてかも)


自分は曖昧に笑いながら、受け流す。


ふと、グラスを持つおじさんの爪が長くてゴミがいっぱい詰まってて真っ黒なことに気づく。

自分の癖で必ず最初に相手の爪を見てしまう。

爪が長いのは凄く嫌いで、汚いのは問題外。


我ながらイヤな性格だと思うんだけど、

「爪も手入れしていないということは、見えないところはもっと汚いに違いない」とすぐ考えてしまう。


そんなおじさんなのに、

「ここってさ、不細工が多いからイマイチなんだよね。」と小声で言う。


(だったら、どうして来るんだろ??)


聞いてもいないのに、おじさんはひとり語り始める。そのいずれも、笑っちゃうようなことばかり。


おじさん

「俺って何歳くらいだと思う?結構、若く見られるんだよね。」


(興味ないけど…どう見ても50代後半だよね?全然若く見えない。)


「俺の好きなタイプは、芸能人で言えば、加瀬亮とか瑛太とかかな?顔が不細工なのは無理!」


(無理!だってさ…笑。イケメンがこのおじさんのこと好きになるのかな?)


「男はカラダ鍛えてナンボでしょ?」


(自分は、ブヨブヨ体型なのに?)


「相手に求めるものは結構うるさいよ~!理想高いからね〜俺のレベルに合わせられない奴は、NGだね。」


(「理想高い」って…この人が言うか?自分のこと棚に上げて…)


ずっと適当に相づち打っていただけで、次第に欠伸が出てしまう。


(そろそろ別の人と話したいなぁ~)


飲みながら、そんな事をぼんやり考えていると…


「俺ってさ、井筒ナントカっていう映画監督に似てるって言われるけど、どう思う?」


と突然聞かれてビックリ!


「え?!誰がですか?」


思わず、飲んでいたハイボール吹き出しそうになる自分。


だって、そのおじさん、井筒監督になんて1ミリたりとも似ていない人だから…

どこをどうしたら、そうなるわけ??

誰か教えて~!


そこで、おじさんを少しからかってみる。


「井筒監督に似てるって言われるなんて、結構モテるんじゃないですか?」


すると、

「いやいや~そうでもないよ」


(あれ?強気なこと言う割に、意外に謙虚?)

と思いきや、


「だって、俺が付き合いたくなるような、俺に相応しい男って、なかなかいないからね!それが自然と相手に伝わっちゃうのかもね~」


「はは……そうなんですね(苦笑)」


(やっぱり強気。というより己が見えてない??)


その後も、ペラペラペラペラ…おじさんのひとり語りは終わりそうにない。


(あーあ、俺は“オジサン好き”だけど、こういう自分の話ばかりする人は苦手)


時刻は10時。


(もう帰ろうかな…)


そこへ、新しいお客がやってきた。

  【後編】に続く